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舌を乗っ取られる魚の話

舌を乗っ取られる魚の話

もしも、貴方の家に一つ空き部屋があったとして、ある日、見知らぬ人が家を訪ねてきて「眠る場所がないのです。どうか一晩だけ泊めて下さい」と懇願したとする。

優しい貴方は一晩だけならと、空き部屋を提供する。しかし、次の日もその客人は何事もなかったかのように泊まり、やがて一年後、何食わぬ顔であなたの家族と朝食を共にしていたならどうだろう?怖くないか。

アメリカ・テキサス州で見つかった魚の口の中には生き物が棲んでいる。寄生性のワラジムシで「舌食い寄生虫」と呼ばれる。

この虫は魚の舌を引き離し、自身を魚の口の中に付着させ、そのまま魚の舌になる。その後は口の中で魚の粘液を食べながら生存し続ける。気持ち悪いが、決して魚を殺したり、人間が魚を食べたとしても問題はないという。

現在、我が家は子供の殆どが自立し、空き部屋が存在する。私はこの舌食い寄生虫を知ってから、妙に客人の来訪が気になり出した。

玄関のチャイムが鳴る度にビクッとしてしまうのは、そのせいである。

 

 ⭐️ 本書には極めて専門的な最先端の分子生物学や、人類誕生に至るまでの生物の進化プロセスについても論じられている。風変わりで面白い生物というものは、この地上にまだまだ存在する。しかし、本書を読み終えると、このような書物を書き上げることのできる高度な知性を持った人間そのものが地上で最も不可思議でヘンテコな生き物に思えてくるのは、きっと私だけではないだろう。