老いない身体を手に入れる

いよいよ人類の夢が現実になりそう。今年1月に東大の研究チームが、臓器や血管の機能を低下させる老化細胞を除去する方法を発見した。身体は細胞分裂により新しい細胞が作られ、成長・再生している。しかし、中には細胞分裂が止まったまま生き残る細胞があり、これが老化細胞となって加齢とともに蓄積され、臓器や組織の機能低下を引き起こす。 

この度、老化細胞の生存に必須となる遺伝子を突き止め、その働きを阻害する薬を添加すると老化細胞だけが死滅した。実験用マウスで現われた老化改善効果を人間の年齢に換算すると、握力や免疫・内臓機能がなんと60歳から30〜40歳程度の状態に若返るとの事。

ニュースを聞いて複雑な気になった。病気に苦しむ人達が改善できるのは素晴らしいが、春夏秋冬の季節の巡りを止める様な不自然さも感じた。不老不死は昔からの人類の夢だけど、変化を受け入れる事は人の心の成熟を促す。心の成熟なき技術の発展は欲望だけが先走り、誠に危なっかしい。

⭐️ カラダだけがアンドロイドのように若返ってみても、はたして人間は幸福に生きられるのであろうか？古代中国人も不老不死を目指してはいた。しかし、そこには深淵な自然観察と壮大な生命観があった。それなきテクノロジーは著しくバランスを欠いたものとなりはしないか？タオイズムにおける身体観はその点しっくりくる。私は「老い」も天体の運行同様、争うべきものではなく、宇宙に必要な計画されたものとして捉えたい。