太宰治のゲシュタルト崩壊
昨夜、蜷川実花監督『人間失格』を観た。作家・太宰治と彼を取り巻く3人の女の関係を事実に基づき作品化したものだ。主演の太宰を小栗旬が演じ、脇に宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみのラインナップ。
私は学生時代かなり太宰にかぶれた。好き過ぎて彼の実家である青森県金木の斜陽館を訪ねた程だ。
そんな私が作品を観て、太宰を小栗が演じることに違和感を感じた。太宰にはそこはかとない幸薄さとユーモアと病的要素があって欲しいのだが小栗には全くそれが感じられない。まるで運動部の選手が文化部の生徒を演じるような無理がある。役者としての小栗が嫌いなわけではない。明らかにキャスティングのミスと言いたいのだ。
それに引き換え女優陣の演技は良かった。特に宮沢りえ。彼女がこんなに光る存在感を放つ女優出であったとは!彼女の縁起だけでも観る甲斐はある。では、太宰役は誰なら良いか?と考えたが、オダギリジョーあたりがまだ良いのでは、と思う。
⭐️ 太宰の代表作である『ヴィヨンの妻』、『斜陽』、『人間失格』がどのようなプロセスを経て完成するに至ったか?その辺りの絡みを意識して観るとかなり楽しめる。本作を観終わって感じたのは、とどのつまり、男という生き物はいつだって女性に翻弄されながら生きてるのだなぁ。蜷川実花の映像美と印象的な色彩はいつまでも記憶に残る!
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