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気がつけば、ハルキスト

気がつけば、ハルキスト

長い間、村上春樹が苦手だった。ハルキストなんて軽蔑していた。好きな作品があるにも関わらず、だ。しかし、そんな私が転向を余儀なくされた。

先日、蔵書整理をしていて読み忘れの一冊を見つけた。『職業としての小説家』。村上氏がなぜ作家になるに至ったかを書いたエッセイだ。

最初の数ページで引き込まれ、整理そっちのけで読み入ってしまった。

私は完全に彼を誤解していた。インテリで苦労知らずのお坊ちゃんだと思っていた彼が、長い間、文壇とメディアの心ない圧力に胸を痛めていたこと、何より心から小説と読者を愛していること、一日も欠かさず続けられているジョギングが単なる趣味でなく長く作家として活動する体力を養うために行われていたことを知った。

小説では分からなかった人柄を知り、彼が好きになった。今、正直に言おう。私は紛れもなくハルキストだ。それを認めたくなかったのは彼の才能に対する嫉妬だったのだ、と。

 

 

⭐️ これは小説家を目指す人のみならず、社会で何らかの仕事に従事する人全てが読むべき仕事術の本であり、生き方の本である。小説では分からなかった村上春樹の仕事に対する誠実さが何より伝わり、彼のことが大好きになった。

職業としての小説家 (新潮文庫)

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