白隠禅師の健康法②


images

 

*前回からの続きです。

禅病で生死の淵をさ迷っている弟子たちに、白隠禅師はこう語りかけます。

「私も若い頃、修行が過ぎて禅病にかかったことがある。しかし、どんな有名な医者でも私の病を治すことはできなかった。その時、京都・山城の国の山中に住むという仙人の話を聞き、彼に会って、ある秘密の健康法を聞き出したのだが、それを用いた結果、私の病はたちまち治ってしまった。」

「私はもう70歳を超えておるが、少しの病もない。歯も1本も抜けておらず、目や耳はますます活発に働き、老眼鏡を忘れるほどだ。説法の席では70日語り続けて休まなかった。気力においては、20歳の頃よりはるかに元気だ。おまえたちにもその健康法を教えよう。」

 

 

■内観の法■

・・・若い頃、禅病を患った禅師が人から聞いた仙人とは、年齢200歳を超える長寿で、天文学と医学を修めたほどの博学。山奥に住み、人嫌いで、もし人の姿を見たなら、さっと逃げてしまうかも知れないとのこと。その名は人呼んで白幽先生。

けれども、礼を尽くしてお願いすれば、人嫌いの白幽先生でも必ずや病を治す方法を教えてくれるに違いないと聞いた禅師は、藪をこぎ、川を渡り、崖を登って、やっと人がいそうな洞窟を見つけました。

洞窟に入ってみると、そこには白髪の白幽先生が一人坐禅を組んでいました。禅師に気づいた白幽先生はすかさず飛び上がって逃げようとしたのですが、禅師が礼を尽くして事情を話すと、しぶしぶ禅師の手を取り、脈を調べ始めました。そして、こう言いました。

「そなたは、修行の度が過ぎてこの病を患っておる。どんな医薬をもってしてもこの病は治らない。もし、治す方法があるとするなら、内観の法以外にはなかろう・・・」

 

「内観の法?」

「そう。内観の法じゃ。」

「そもそも万物の根源は道(タオ)じゃ。そこから分かれた陰陽ふたつの気がモノやヒトを生み出した。その気が人体をめぐり、命を支えておる。ここで大切なことは、上ばかりに気をとられず、下を見つめることじゃ。達人は常に気を下に充実させる。凡人は常に上に気をおくから苦しむのじゃ。」

 

「下を見つめること?」

「そう。ゆえに荘子いわく、真人(しんにん)の息は、これ踵(くびす)をもってし、衆人(しゅうじん)の息は喉(のど)をもってす、と。」

 

「踵(くびす)とは、かかとのこと。真人(しんにん)は、悟った人。衆人(しゅうじん)は、ただの人。気がへその下の丹田に集まれば、自然と腹式呼吸になり、呼吸はあたかも喉ではなく足の裏でするかのように感じる。」

「大切なのは、天から頂いた先天の気を、天地自然に満ちている原エネルギーとひとつにすることだ。それができれば、病は治る。治った後は、世のため人のため感謝の気持ちでまわりに尽くすことじゃ。多くの者は、自分のことで頭ばかり使って、気が下へとめぐっておらんのじゃ。」

「丹田を意識して呼吸すること。これがすなわち内観の法じゃ。足の裏で呼吸していると感じられるまでまずは続けてみることじゃ。」

 

白幽先生が禅師に教えたこの「内観の法」は、のちに「丹田呼吸法」という名で現代へと伝えられています。一通り先生の説明を聞いた禅師はこう訊き返します。

「わかりました。やってみましょう。しかし先生、気を丹田の一点に集中させると、かえって気がとどこおる心配はないでしょうか?」

「バカもの!また頭を使っているではないか!だからそなたは病気になるのじゃ。つべこべ言わずにまずは、やってみることじゃ。もし、万が一、それをやっても効果がない場合は、最終秘密兵器・軟酥(なんそ)の法を教えてやるから、試してみなさい。」

 

「その軟酥の法とは、どのように行うのですか?」

「ううむ。その軟酥の法とは・・・・」

 

さて、その最終秘密兵器・軟酥の法とは、一体どんな健康法なのでしょう?
お伝えしたい気持ちを押さえつつ、ブログは次回、最終章へと続きます。

 

 

★それにしてもあの時代、すごい坊主がいたものだ。同じ日本人であることが嬉しくなる白隠禅師の逸話が満載です!

白隠禅師―健康法と逸話

新品価格
¥1,188から
(2015/6/7 13:06時点)


noahnoah

治療家。マクロビオティック指導家。導引研究家。子供の頃から「生きる」ことの不思議に興味を持つ。20代で放浪の旅に出たインドで九死に一生を得る体験をする。以来、宇宙と生命の繋がりについて考えるようになる。現在、モノを書くことを通じて宇宙生命の神秘に近づこうと奮闘中!

1 comment

  1. 白幽子仙人のことを研究したくおもっついます。どこか教えてくれるとこは、ないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です